バーベキューで多発!細菌性食中毒にご用心
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- コラム
外の空気をめいっぱい吸いながら食べるご飯はとっても美味しいですよね。
しかし、ゴールデンウィークから夏にかけてのシーズンは、バーベキューによる食中毒が発生しやすいので要注意。
せっかく楽しいバーベキューを食中毒で台無しにしないように、食中毒対策のコツをチェックしておきましょう!
GWから夏にかけて多発する食中毒とは
そもそも食中毒には、ウイルス性・細菌性・真菌性・化学性・寄生虫など、さまざまな種類が存在します。
牡蠣などを食べた際に発生しやすいノロウイルスなどはウイルス性食中毒の代表的な例ですし、アニサキスは寄生虫、農薬は化学性食中毒に含まれます。
細菌性食中毒には、カンピロバクターやO157、黄色ブドウ球菌などが含まれ、この細菌性食中毒こそが、夏にかけて特に発生しやすい食中毒なのです。
食中毒の種類について
・ウイルス性食中毒:ノロウイルス、ロタウイルスなど
・細菌性食中毒:カンピロバクター、O157、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなど
・化学性食中毒:農薬、水銀、ヒスタミンなど
・寄生虫食中毒:アニサキスなど
・自然毒食中毒:フグ毒、毒キノコなど
また、細菌性食中毒は感染経路の種類別でさらに3つの種類に分類されます。
感染型:食品中で大量発生した細菌を食品と一緒に摂取してしまう感染経路(カンピロバクター、腸炎ビブリオなど)
食品内毒素型:食品中で細菌が増殖する際に発生する毒素を食品と一緒に摂取してしまう感染経路(黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など)
生体内毒素型:食品と一緒に摂取した細菌が腸管内で増殖するという感染経路(O157、ウェルシュ菌など)
バーベキューで取り扱う食品や環境下においては、細菌性食中毒で示した上記の菌に感染する危険性がとても高いです。
気温が上がると菌が繁殖しやすくなりますので、バーベキュー時にはより一層慎重になって細菌性食中毒全般に対する対策を行う必要があります。
細菌性食中毒の危険が高い食品
細菌性食中毒が発生しやすい食品として、バーベキューの場面では実際にどういった食品に注意が必要なのでしょうか。
この時期、特に気をつけたい食品と細菌名を整理していきます。
鶏肉に含まれるカンピロバクター
まず気をつけるべき食品は鶏肉です。
感染型の細菌性食中毒であるカンピロバクターの付着が多く、暖かくなるとカンピロバクターが増殖しやすくなるため、通常以上に注意が必要です。
感染原因としてよくあるのは、鶏肉が生焼けでカンピロバクターが死滅していなかったというケース。
肉の中心温度が1分以上75℃になるよう加熱することで死滅するとされていますが、バーベキューでは毎回毎回中心温度を気にして調理する人は少ないので、ついつい焼けたと勘違いして生焼けの鶏肉を口にしてしまうという人が出てきます。
きちんと食肉の色が変わっているかどうか、食べる前に肉の断面をチェックするなどの工夫が必要です。
魚介類に含まれる腸炎ビブリオ
ここまで読むと、「生肉は怖いから魚なら大丈夫でしょ!」と思うかもしれませんが、魚で発生する腸炎ビブリオという細菌にも十分注意が必要です。
腸炎ビブリオは、魚介類で発生しやすい細菌で、増殖スピードがとても早いことから、ちょっとした感染原因があるだけですぐに食中毒を引き起こしてしまいます。
腸炎ビブリオは塩分がある環境で増殖しやすいので、まな板や包丁を介して二次汚染された塩分を含む食品が、菌を保有してしまうケースが多いです。
一方、4℃以下の環境では発育せず、水には弱いという性質があるため、冷たく魚を冷やした状態で真水でしっかりと洗ってから調理すること、調理後はきちんと調理器具を水で洗浄することで、食中毒の発生を防ぐことができるとされています。
どちらの菌も感染すると下痢や嘔吐など辛い症状を引き起こしますが、正しい感染対策を行うことで身を守ることができるため、必要以上に心配することはいりません。
細菌性食中毒を防ぐためのアクション
実際に細菌性食中毒から身を守るために、自分でできるアクションにはどういったことが挙げられるでしょうか。
すぐにでも実践できることとして、ぜひ以下の3項目には取り組んでみてください。
クーラーボックスと氷は多めに用意
バーベキュー場に食品を持ち込む場合は、必ずクーラーボックスに入れ、氷を切らさないようにしながら保管しておきましょう。
クーラーボックスはむやみに外に出すのではなく、車内や日陰など直射日光に当たらない場所に置き、料理する直前に食品を取り出し、速やかに調理を進めてください。
調理器具は洗剤ときれいな水でこまめに洗浄する
バーベキューでは肉や魚に加え、生野菜なども取り扱うことが多いです。生野菜を切る際には包丁やまな板は必ず先に洗剤と水で洗浄してから利用するようにしましょう。
また、肉や魚に含まれる細菌の付着を防ぐために、牛乳パックなどをまな板代わりにして調理するのもおすすめです。
食事用の箸で肉や魚を焼かない
家族のバーベキューなどでは、ついつい自分の食事用の箸をトング代わりにしてしまいそうになりますが、これは非常に危険です。
生肉や魚には細菌が付着していますので、食事用の箸とトングは必ず別々に用意してください。
お子さんがいる場合などは、生焼けの肉を勝手に取らないように伝え、注視しておくことが大切です。
食中毒対策を徹底し、楽しい夏休みを
美味しいバーベキューにキャンプファイヤー、花火など、外で楽しむレジャーは楽しいこと三昧です。
食中毒でお出かけを台無しにしてしまわないよう、ご自身でできる食中毒対策を徹底しながら、一生の思い出となる夏休みを過ごしてくださいね。
しかし、どれだけ対策をしていても、お出かけ時にはトラブルが起こりやすかったりもします。
もしもの体調不良や異変があった場合には、無理せずすぐに近くの医療機関や保健センターへ問合せをし、適切な処置を行いましょう。
当院でも、急な体調不良や怪我に関するご相談・診療も受け付けておりますので、何かございましたらお気軽にお問合せください。