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バセドウ病ってどんな症状?放置すると怖い甲状腺の病気

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2025.05.29
  • コラム

「最近なんだか動悸が激しい」「汗が止まらない」「体重が減ってきた」

もしかすると、このような症状は「バセドウ病」という甲状腺の病気が関係しているかもしれません。

バセドウ病は誰にでも起こり得る病気であり、放置してしまうと心臓や全身に深刻な影響を与えることもあります。

今回は、バセドウ病の症状や原因、診断方法、治療法、そして放置した場合のリスクについて解説していきます。

バセドウ病とは?

バセドウ病(Basedow病)とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症」の一種です。自己免疫の異常により、免疫システムが自分の甲状腺を攻撃して刺激し、ホルモンを過剰に作らせてしまうことで発症します。

甲状腺ホルモンは、私たちの体の代謝を調節する大切なホルモン。これが過剰になると、全身の働きが過剰に活発になり、さまざまな症状を引き起こします。

主な症状とは?初期に気づきにくいケースも

バセドウ病の症状は非常に多岐にわたりますが、代表的なものは以下の通りです。

1. 動悸・息切れ

甲状腺ホルモンが増えると、心拍数が上がりやすくなり、動悸や息切れが起こります。軽い運動でも心臓がバクバクするような感覚になる人もいます。

2. 発汗・暑がり

異常なほど汗をかく、暑さに耐えられないといった症状が現れます。エアコンが効いていても汗が止まらないこともあります。

3. 体重減少

食欲があるにもかかわらず体重が減っていくのも特徴的な症状。代謝が過剰に活発になることで、エネルギーの消費が増えるためです。

4. 手の震え

手が細かく震える(振戦)ことがあります。緊張していないのに手が震えるようになったら要注意です。

5. イライラ・不安・不眠

精神的にも影響が出やすくなります。落ち着かずイライラしたり、不安になったり、眠れなくなったりすることもあります。

6. 眼球突出(目が出てくる)

バセドウ病特有の症状として、目が飛び出したように見える「眼球突出」があります。目の周りの筋肉や組織が炎症を起こし、目が前方に押し出されてしまうのです。

放置するとどうなる?命に関わるリスクも

バセドウ病は「疲れやすい」「動悸がする」など、よくある体調不良として見逃されがちですが、放置することで重大なリスクを引き起こすことがあります。

心不全や不整脈のリスク

ホルモンの影響で心臓に負担がかかり続けると、不整脈や心不全のリスクが高まります。特に高齢者や心疾患を持つ人にとっては命に関わる事態になることもあります。

骨粗しょう症

代謝が過剰に活発になることで、骨のカルシウムが失われやすくなり、骨密度が低下して骨折しやすくなることがあります。

甲状腺クリーゼ(重篤な状態)

バセドウ病が悪化すると「甲状腺クリーゼ」と呼ばれる、命に関わる重篤な状態になることもあります。高熱、頻脈、意識障害などの症状が急激に進行し、緊急の治療が必要です。

バセドウ病の診断方法

バセドウ病は血液検査や画像検査によって比較的早期に診断が可能です。以下のような検査が行われます。

  • 甲状腺ホルモン(FT3、FT4)、TSHの測定
  • 甲状腺刺激抗体(TRAb)検査
  • 甲状腺エコー検査

動悸や発汗、体重減少などの症状に心当たりがある場合は、内科や内分泌科での受診をおすすめします。

治療法は?症状や希望に応じて選べる

バセドウ病の治療法は大きく分けて下記の3種類があります。

1. 薬物療法

抗甲状腺薬(メチマゾールなど)を使ってホルモンの分泌を抑える方法です。最も一般的で、定期的な通院と血液検査で効果を確認しながら治療を続けます。

2. 放射性ヨウ素治療

放射性ヨウ素を服用することで、甲状腺の一部を破壊してホルモンの分泌量を調整します。ただし、妊娠中や授乳中の人には適していません。

3. 手術療法

甲状腺の一部または全部を摘出する方法です。眼球突出が強い場合や、薬が効かない・副作用がある場合などに選択されます。

バセドウ病と上手に付き合うために

バセドウ病は、適切に治療すれば日常生活を問題なく送ることができる病気です。大切なのは、症状に気づいたら早めに受診すること。そして、医師と相談しながら自分に合った治療法を選ぶことです。

生活習慣にも気を配り、バランスの取れた食事や適度な休養を心がけることで、治療の効果を高めることができます。

心当たりのある方は、早期発見・早期治療を

バセドウ病は、日常に潜む「ちょっとした不調」がサインとなることが多い病気です。動悸、発汗、体重減少、イライラなどの症状を軽く見ず、「もしかして」と感じたら早めに受診することをおすすめします。

当院では、甲状腺内科にて専門診療を行っております。

甲状腺エコー検査や血液検査、穿刺吸引細胞診(FNA)など、甲状腺疾患に関わる幅広い検査に対応しており、最適な治療方針をご提案いたします。

甲状腺に関する検査や治療、定期通院など、まずはどなたでもお気軽にご相談ください。

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