この冬は「トリプルデミック」に要注意!同時流行しやすい冬の感染症大全
column
- コラム
毎年、冬になると体調を崩す方が一気に増加します。
特に年末〜年明けにかけてぐっと気温と湿度が低くなる時期は要注意。インフルエンザをはじめとしたウイルスは、冬の乾燥した空気で感染拡大しやすいので、換気や手洗いうがいなどの対策を怠っていると、どんどんと家族内や会社内でも感染者がでてしまいます。
また、今年の冬は3つのウイルスが同時流行すること(トリプルデミック)が懸念されています。
同時流行によって、症状が重症化しやすかったり、集団感染が広がりやすかったりする恐れがありますので、十分注意が必要です。
冬に同時流行しやすい感染症その1:インフルエンザ
まず一つ目の感染症は、インフルエンザです。
インフルエンザは毎年冬のシーズン(11月〜3月ごろ)に流行しやすいウイルスとして認識されている方も多いかと思います。
新型コロナウイルスの流行が拡大した2020〜2022年ごろ、インフルエンザの感染は一時的に感染者が減少しました。これは普段からマスクの着用や手洗いうがいなどの感染対策を徹底していたからだと考えられますが、それによってインフルエンザに対する免疫をもつ人も減少しました。
その結果、昨年に続き今年もインフルエンザの感染拡大に注意が必要です。
12月からは忘年会やクリスマス、年末年始などイベントも多く、大勢の人と集まる機会が増えますので、感染拡大が懸念されます。
今のうちに予防接種を活用するなどして、感染対策を心がけましょう。
インフルエンザウイルスについてはこちら:
冬に同時流行しやすい感染症その2:新型コロナウイルス
二つ目の感染症は、新型コロナウイルスです。
新型コロナウイルスは、一時期に比べると流行ピークは過ぎたものの、現在も一定数の感染者が出ています。当院でも、発熱外来にいらっしゃる方の中で一定数の感染者は今もなお確認されています。
また、これは新型コロナウイルスに限った話ではありませんが、冬は空気が乾燥しやすく、寒さゆえに換気を怠りやすいため感染拡大しやすい時期です。
以前のようにマスクを着用する方はほとんどいなくなりましたので、人混みや職場、学校などではより一層こまめな感染対策を行うようにしてください。
冬に同時流行しやすい感染症その3:マイコプラズマ肺炎
三つ目の感染症は、マイコプラズマ肺炎です。
マイコプラズマ肺炎とは、呼吸器の感染症の一つで、風邪症状が一旦落ち着いても、乾いた咳だけは長引いてしまうことが特徴です。
「咳くらい大丈夫だろう…」とついつい放置してしまいやすく、気づいた頃には重症化してしまう恐れのある肺炎なのがマイコプラズマ肺炎。重症化すると、心筋炎や無菌性髄膜炎などを併発して命に関わる危険もあります。
子どもや若い世代に感染者が多くみられるため、学校など集団生活を行う場での感染対策を徹底するようにしてください。
マイコプラズマ肺炎についてはこちら:
さらに気をつけたい感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス)
トリプルデミックと呼ばれている三つのウイルスだけでなく、実は冬のシーズンには胃腸炎を起こすウイルスの感染にも注意が必要です。
ノロウイルス
ノロウイルスは、毎年11月〜2月ごろに感染拡大しやすいウイルスで、1〜2日程度の潜伏期間を経て、下痢や嘔吐、胃痛、腹痛、発熱などが数日間続きます。
牡蠣をはじめとした貝類に付着していることが多いウイルスで、十分加熱しないまま食べることで感染しやすいです。
また、牡蠣と一緒のまな板で調理した食材にもウイルスが付着している場合がありますので、加熱をしない生野菜などを通じて感染するケースにも注意が必要です。
この時期は、なるべく貝類を食べるときは加熱をしっかり行い、調理器具のこまめな洗浄を心がけておくことをお勧めします。
ロタウイルス
ロタウイルスは、5歳以下の小さな子どもに多く見られる感染症で、2日程度の潜伏期間を経て、嘔吐や発熱、下痢を数日間起こすのが特徴です。
感染者の便や嘔吐物に含まれたわずかなウイルスが、手指などを通じて経口感染することが主な感染経路で、保育園や幼稚園などで知らず知らずのうちに子ども同士で移し合うケースが多く見られます。
また、大人の感染はあまり多くありませんが、免疫が弱っていたり高齢者など体力が落ちている方の場合は感染することもありますので、育児や介護を通じて感染を広げないよう注意が必要です。
なお、2020年から子どもの定期接種としてロタウイルスワクチンが採用されています。当院でもワクチン接種を実施しておりますので、お子さまをお持ちの方は、予防接種の活用をご検討ください。
ロタウイルスワクチンについて:
感染対策の徹底と、早めの受診を心がけて
冬のシーズンは、さまざまな感染症から身を守らなければなりません。
特に今年は、同時に複数のウイルスに感染する恐れもあり、普段健康な方でも重症化するリスクが必然的的に高くなってしまいます。
ワクチン接種の検討をはじめ、手洗いうがい、マスクの着用、アルコール消毒といったこまめな感染対策を今一度意識して実施するようにしてください。
そして、イベントの多い楽しいシーズンを、心身ともに健康に過ごしましょう!