大人になってから発症する人多数…咳喘息とは
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- コラム
近年、「風邪が治ったと思ったのに咳だけが長く続く」「夜から朝にかけて咳が出て眠れない」など、大人になってから咳喘息を発症する人が増えています。
咳喘息は、その名の通り「咳が主な症状となる喘息」の一種。放置すると本格的な気管支喘息へ移行するリスクもあるため、早めの対応が大切です。
今回は、咳喘息の原因や症状、受診の目安、治療法、予防のポイントについて解説します。
咳喘息とは
咳喘息とは、長引く乾いた咳(空咳)が主症状となる呼吸器疾患で、気管支が過敏になっている状態を指します。一般的な喘息は「ゼーゼー・ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を伴いますが、咳喘息では 喘鳴がほとんどなく、咳だけが続くことが特徴です。
3週間以上咳が続く場合は咳喘息の可能性がありますので、早めに医療機関にご相談ください。
咳喘息が大人に多い理由
咳喘息は、子どもよりも30〜50代以降の大人での発症が多いと言われています。その背景には、以下の要因が関係していると考えられています。
気道の老化
年齢を重ねると気道が刺激に反応しやすくなり、炎症を起こしやすくなります。
環境変化
仕事や家庭環境のストレス、生活習慣の乱れ、住環境の変化などが影響します。
アレルギーの増加
花粉症やハウスダストアレルギーを持つ大人が増えており、これらが引き金となって咳喘息を発症するケースが多く見られます。
咳喘息の主な症状
咳喘息の最も大きな特徴は、乾いた咳が長期間続くことです。特に以下のような特徴があれば、咳喘息が疑われます。
● 夜間〜明け方に咳が悪化する
気道が敏感になるため、寝ている間や朝方に咳が強くなりがちです。
● 運動後や会話中に咳が出る
軽い運動や階段の上り下り、長い会話などで咳が誘発されることがあります。
● 冷たい空気で咳が出る
冬場や冷房の効いた場所など、冷たい空気を吸い込むことで咳が増えることも特徴です。
● 痰はほとんど出ない
乾いた空咳が主で、痰はあまり出ません。
放置すると約3割が気管支喘息に移行することも
咳喘息を治療せずに放置していると、約3割が気管支喘息へと移行すると報告されています。ゼーゼー・ヒューヒューが出るようになると、より強い治療が必要になり、生活への支障も大きくなります。
咳喘息は、「たかが咳くらい」と侮って放置するのではなく、なるべく早い治療が何より大切です。
咳喘息の原因
咳喘息は、以下のような刺激がきっかけで発症することが多いです。
- 花粉、ハウスダスト、ダニなどのアレルゲン
- 風邪やウイルス感染後の咳が長引く
- タバコの煙
- 冷気・乾燥
- ストレスや疲労
- PM2.5などの大気汚染
特に、「風邪が治った後に咳だけが残っている」というケースは非常に多く見られます。
咳喘息が疑われる際の受診目安
以下のような症状がある場合は、呼吸器内科やアレルギー科の受診がおすすめです。
- 咳が3週間以上続く
- 夜に咳で目が覚める
- 話していると咳が止まらなくなる
- 市販薬がほとんど効かない
- 冬場・季節の変わり目に咳が悪化する
早めに受診すれば、短期間の治療で改善するケースも少なくありません。
咳喘息の治療法
咳喘息の治療は、下記のとおりです。
- 吸入ステロイド薬
- 気管支拡張薬(必要に応じて)
- アレルギー改善薬
- 咳を誘発する要因(タバコ、冷気、アレルゲン)の回避
気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬の使用が一般的に多く、症状に応じて気管支拡張薬を併用することもあります。
治療期間は通常数週間〜数ヶ月ほどで、早期にきちんと治療することで喘息への進行を防ぐことができます。
日常でできる咳喘息の予防&対策
日常生活の中で、咳喘息の発症を予防するためには、以下のような対策を実践することがおすすめです。
● 部屋の湿度を40〜60%に保つ
乾燥は咳を悪化させるため、加湿器の利用がおすすめ。
● こまめに換気
花粉やPM2.5が多い日を除き、室内の空気を清潔に保つことが重要です。
● アレルゲンを減らす
寝具を清潔に保ち、ハウスダスト対策を行いましょう。
● 冬場はマスクで外気の刺激を減らす
冷たい空気が気道の刺激になるため、外出時はマスクが有効です。
● 禁煙・受動喫煙の回避
タバコは咳喘息を悪化させる大きな要因です。
長引く咳症状は、早期治療を心がけて
咳喘息は、大人になってから発症するケースが多く、風邪やアレルギー、過労やストレスをきっかけに長引く咳として現れます。
「咳だけだから…」と軽く考えて放置すると、気管支喘息へ進行するリスクもあるため、注意が必要です。
「咳が3週間以上続く」「夜に咳が出やすい」などの症状があれば、早めの受診がおすすめ。
適切な治療と生活環境の見直しで、辛い症状を改善していきましょう。
当院では呼吸器科を構えており、各種呼吸機能の検査から治療まで一貫して対応が可能です。
3週間以上咳症状が続く方や、息苦しさに不安を抱えている方はなるべく早く原因を特定することが今後の健康に繋がります。
どなたでもお気軽にご相談ください。
呼吸器科