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働き世代が発症しやすい呼吸器疾患5選

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咳や息苦しさといった呼吸器症状に悩まされている中年男性の様子。
2025.10.21
  • コラム

20代〜60代は、仕事や家事に忙しい働き盛りの世代。 「咳が長引く」「息が切れやすい」「風邪が治りにくい」といった症状を、ついつい「疲れ」や「年齢のせい」だと思い込んでしまう方は多いのではないでしょうか。


しかし、その症状の裏には、重大な呼吸器疾患が隠れていることもあります。

今回は、働く世代に多い呼吸器疾患5選を紹介。主な症状・原因・予防のポイントについて分かりやすく解説していきます。

 

働き世代が注意すべき呼吸器疾患その1:気管支喘息(成人喘息)

働き世代が注意すべき呼吸器疾患として、まず最初に考えられるのが成人喘息とも呼ばれる「気管支喘息」です。

「風邪が治ったのに咳が止まらない」「夜中に咳で目が覚める」といった悩みを抱えている方は要注意。症状を放置すると慢性化し、重症発作につながることもあります。

気管支喘息は、一般的に吸入治療を中心にコントロールすることで、発作のない生活を送ることができることがほとんど。早めの治療で発作を改善しましょう。

 

■主な症状

・咳が長く続く(特に夜間や早朝)
・ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)
・息苦しさ、胸の圧迫感

■原因・背景

・もともと小児期に喘息があった方だけでなく、大人になってから発症する「成人喘息」も増加傾向。その背景には、仕事のストレス・喫煙・過労・睡眠不足・気温差など、現代の生活習慣が深く関係しているとされている。

・オフィスの空調やハウスダスト、花粉などによるアレルギーも発作の引き金になることが多い。

 

働き世代が注意すべき呼吸器疾患その2:咳喘息

働き世代が注意すべき呼吸器疾患として、気管支喘息に次いで多いのが咳喘息です。咳喘息では、気管支喘息のような息苦しさは感じないものの、ひどい咳が長期間続くことが特徴となります。

しかし、息苦しさがないからまだ大丈夫だろうといって咳喘息を放置してしまうと、その結果気管支喘息に移行するリスクがあります。

市販の咳止めでは治らないことが多いため、吸入ステロイドなどの専門的な治療が必要です。「風邪が治ってもなかなか落ち着かない咳症状」は、早めに呼吸器内科で相談することをおすすめします。

■主な症状

・3週間以上続く乾いた咳
・息苦しさや発熱はほとんどない
・夜や朝方に咳が悪化しやすい

■原因・背景

・風邪やアレルギー、ストレス、気候変化などがきっかけで、気道が敏感になり咳が続く
・喘息と違って「ゼーゼー」という音が出ないため、風邪と間違われやすい。

 

働き世代が注意すべき呼吸器疾患その3:慢性閉塞性肺疾患(COPD)

働き世代では、タバコが主な原因となる慢性閉塞性肺疾患(COPD)にも十分注意が必要です。

COPDは「初期段階では気づきにくい病気」と呼ばれており、風邪や加齢のせいだと誤解されることもしばしばあります。

呼吸機能検査(スパイロメトリー)を受けることで早期発見することができ、禁煙を第一としながら適切な薬物治療で症状の進行を防ぐことが可能な疾患です。

■主な症状

・朝方の強い咳やたん
・少し動くだけで息切れする
・風邪をひくと長引きやすい

■原因・背景

・主な原因は喫煙(タバコ)によるもの。
・たばこの煙や職場の粉じんを長年吸い続けることで、肺の気道や肺胞が壊れ、呼吸がしづらくなる。
・日本では40代以降の男性に多く、働き盛り世代も多く発症する。

・喫煙しない方でも受動喫煙や大気汚染によって発症することがある。

 

 

働き世代が注意すべき呼吸器疾患その4:肺炎(特にマイコプラズマ肺炎)

働き世代には、肺炎を発症する方も多くみられます。

肺炎と一括りにいってもその種類はさまざまで、新型コロナウイルス感染症などが悪化した場合や後遺症として肺炎症状を起こす場合や、マイコプラズマ肺炎などを起こす場合など、多岐にわたります。

 一般的には、レントゲンやCT検査を受けることで正確な診断を行うことができますので、「感染症にかかって熱は下がったのに咳だけ長引いている」「息苦しさがずっと続いている」といった症状が続く場合、肺炎を疑って早めに受診するようにしましょう。



なお、肺炎の予防としてはインフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンといった予防接種の活用も有効です。

■主な症状

・発熱、咳、倦怠感、息苦しさ
・風邪のような症状が続く、悪化する
・咳が2週間以上止まらない

■原因・背景

マイコプラズマ肺炎やウイルス性肺炎にかかる人が多い。
・職場や家庭内での感染が多く、ストレスや疲労で免疫が落ちていると発症しやすくなる。
・新型コロナウイルス感染後の肺炎や、後遺症による肺炎症状も近年は懸念されている。

 

 

働き世代が注意すべき呼吸器疾患その5:睡眠時無呼吸症候群(SAS)

特に40代以降の男性に多く発症する呼吸器疾患として注意が必要なのが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)になります。

これは他の肺炎のようにウイルス感染等が原因となるのではなく、日常生活の乱れや肥満等の生活習慣病が引き金になることが多いのが特徴です。

検査自体は、自宅での睡眠中の呼吸状態を調べる「簡易検査」から可能で、手軽にチェックをすることができます。

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、 CPAP(持続陽圧呼吸療法)などで治療することで、日中の眠気や集中力低下を改善できますので、「眠気で仕事に集中できない」「いびきを指摘された」という方は早めの受診を心がけましょう。

■主な症状

・いびきが大きい、途中で止まる
・朝起きても疲れが取れない
・日中の眠気、集中力低下

■原因・背景

・肥満や加齢、飲酒、ストレスによって、寝ている間に気道がふさがり呼吸が止まる病気。
・ 働き盛りの男性に多く、特にデスクワーク中心で体重が増加している方は要注意。
・放置すると高血圧や心疾患、脳卒中など生活習慣病のリスクも高まる。

 

なぜ働き世代に呼吸器疾患を発症する人が多いのか

仕事や家庭の両立、長時間労働、ストレス、喫煙、睡眠不足——。
これらはすべて呼吸器の健康に悪影響を与える要因です。
特に、免疫力の低下や気道の炎症、生活習慣病との関連が指摘されています。

また、マスク生活やテレワークの普及により、換気不足・運動不足も加わり、肺機能の低下や感染症リスクを高めています。

呼吸器疾患を予防するためには、下記のようなことを心がけて日頃の生活から整えていくことが大切です。

  1. 禁煙・受動喫煙を避ける
  2. 睡眠と栄養をしっかり取る
  3. 適度な運動で肺を鍛える(ウォーキングなど)
  4. 定期的に健康診断や胸部レントゲンを受ける
  5. 咳が2週間以上続く場合は医療機関へ相談する癖をつけておく

 

早めの受診で、呼吸器症状の悪化を防ぎましょう

働く世代に多い呼吸器疾患は、「長引く咳」や「息苦しさ」から始まることが多いです。

しかし、仕事や育児に忙しいことを理由にして「今度の健診で引っかかってから相談しよう」「そのうち治るから大丈夫だろう」と放置してしまう結果、慢性化・重症化を起こしてしまう方も多くいらっしゃいます。

気になる症状が続くときは、早めに呼吸器内科を受診し、原因を特定することが仕事のパフォーマンスと健康維持の第一歩になります。

当院でも、呼吸器科を構えており、各種呼吸器疾患の検査から治療まで一貫して対応しております。

大阪梅田のアクセス良い場所にて月〜土まで診療しておりますので、仕事の合間や終業後、お休みの日を活用してお早めにご相談ください。

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