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インフルエンザが重症化するとどんなリスクがある?知っておきたい主な合併症と予防策

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インフルエンザの重症化で寝込む男性の様子。
2025.11.13
  • コラム

毎年冬になると流行するインフルエンザ。多くの場合は発熱や関節痛などの急性症状が数日~1週間ほどで落ち着きますが、重症化すると命に関わるケースもあることをご存じでしょうか。

特に高齢者や子ども、基礎疾患を持つ人はリスクが高いため、早期対策が欠かせません。

今回は、インフルエンザが重症化した際に起こり得るリスクや合併症、そして予防のポイントをわかりやすく解説します。

 

インフルエンザが重症化すると起こる主なリスク

インフルエンザが重症化すると、以下のような病気を合併するリスクがあります。

命に関わる恐れもありますので、十分注意が必要です。

 

1. 肺炎(ウイルス性肺炎・細菌性肺炎)

インフルエンザが重症化した際に最も注意が必要なのが肺炎です。インフルエンザウイルスによる肺炎だけでなく、体力や免疫が落ちることで二次的に細菌感染を起こす「細菌性肺炎」も発症しやすくなります。


高熱が続く、呼吸が苦しい、咳が悪化するなどの症状がみられる場合は、速やかな受診が必要です。

 

2. 急性脳症(インフルエンザ脳症)

特に幼児に多い合併症としては「インフルエンザ脳症」が挙げられます。

意識障害やけいれんなどを起こし、重篤化すると後遺症が残る場合や命の危険が及ぶこともあります。


突然意味不明な言動が見られる、ぐったりして反応が鈍いなどの異変があれば緊急受診が必要です。

 

3. 心筋炎・心不全

インフルエンザウイルスは心臓にも影響を及ぼすことがあり、心筋炎を引き起こす場合があります。

胸の痛み、動悸、息切れなどが現れ、さらに重症化すると心不全へ進行することもあります。
心臓病の既往がある人、高齢者は特に注意が必要です。

 

4. 脱水・腎障害

高熱や食事量の低下、発汗などにより脱水状態が進むと、腎機能が低下しやすくなります。

高齢者は喉の渇きを感じにくいため、気づかないうちに脱水症状を起こしてしまい、重篤化するリスクがあるので家族や介護者が近くで注意を払うようにしましょう。

 

5. 慢性疾患の悪化

喘息、COPD、糖尿病、心疾患など持病がある場合、インフルエンザ感染をきっかけに症状が悪化しやすくなります。


特に呼吸器・循環器の疾患は重症化リスクが高いため、持病の早期治療が大切です。

 

重症化のリスクが高い人の特徴

以下に該当する人はインフルエンザが重症化しやすいため、感染予防と早期受診が重要です。

 

  • 65歳以上の高齢者
  • 5歳未満の幼児、とくに2歳未満
  • 妊娠中の女性
  • 基礎疾患(心疾患、呼吸器疾患、糖尿病、腎疾患など)がある人
  • 免疫力が低下している人(治療中の患者など)

 

インフルエンザの重症化を防ぐための予防策

インフルエンザの重症化を防ぐためには、以下のような予防策を積極的に実践することを心がけてください。

 

インフルエンザワクチンの接種

ワクチンは「感染を完全に防ぐもの」ではありませんが、もし感染してしまったとしても重症化を防ぐ効果が高いことが知られています。

特に高齢者や子ども、妊婦さん、基礎疾患のある人などは重症化リスクが高いため、積極的に実践しておきたい予防策です。

 

早期受診と抗インフルエンザ薬

発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を使用すると、症状の悪化や重症化リスクを下げられます。
「いつもの風邪と違う」「急に高熱が出た」などと感じた場合は、自宅で様子を見るのではなく早めに医療機関に受診し、インフルエンザ薬を服用するようにしましょう。

また、家族や職場など身近な人がインフルエンザに感染した際には、自分自身がインフルエンザを発症するまでにインフルエンザ予防薬を先に服用しておくという重症化予防策もあります。

感染予防・重症化予防としての抗インフルエンザ薬の服用も選択肢として考えてみることも大切です。

 

こまめな水分補給と安静

脱水はインフルエンザ重症化の原因となるため、体調に異変を感じた際にはなるべく早い段階で意識して水分を摂ることを心がけましょう。

水だけではなく、ミネラルが含まれた麦茶や、スポーツドリンクを摂取するのもおすすめです。

 

マスク・手洗い・室内の湿度管理

基本的な感染対策として、マスクや手洗いうがい、適度な湿度・温度管理を実施することはインフルエンザの拡大を抑える上で非常に有効です。

インフルエンザは、冬場の乾燥した空気を好みますので、適度な加湿が大切です。室内は湿度40〜60%ほどを目安に保つよう心がけましょう。

 

重症化のリスクを理解し、早めの対策を

インフルエンザは「ただの風邪」と軽く見られがちですが、重症化すると肺炎や脳症など命に関わるリスクがあります。特に高齢者や子ども、基礎疾患を持つ人などは注意が必要です。


ワクチン・早期受診・体調管理を徹底し、重症化を防ぐための行動を日頃から心がけましょう。

 

当院でも、発熱外来でのインフルエンザ検査・診察はもちろん、インフルエンザワクチン・経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト)の接種、インフルエンザ予防薬の処方といった、重症化予防のための各種対応が可能です。

インフルエンザの重症化で辛い思いをする前に、早めの対策をぜひ心がけてみてください。

 

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