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帯状疱疹ってどんな病気?発症リスクの高い人や予防法を紹介

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帯状疱疹に感染して困っている女性。
2025.07.25
  • コラム

「ピリピリとした痛みが続く」「皮膚に水ぶくれができた」

そんな症状が現れたら、もしかすると帯状疱疹かもしれません。

加齢やストレス、免疫力の低下により発症することが多い帯状疱疹は、発症後の後遺症として帯状疱疹後神経痛が残るケースもあり、十分な感染対策と早期発見が非常に重要です。

今回は、帯状疱疹の基礎から、発症しやすい人の特徴、症状、治療法、そして予防のカギとなるワクチン接種について解説します。

 

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルス(※水痘・帯状疱疹ウイルス:VZV)によって引き起こされる皮膚疾患です。子どもの頃に水ぼうそうにかかったことがある人の体内には、このウイルスが神経節に潜伏しています。

年齢を重ねたり、ストレスや病気などで免疫力が低下すると、体内に潜んでいたウイルスが再活性化し、神経に沿って炎症を起こしながら皮膚に現れるのが帯状疱疹です。

 

帯状疱疹の主な症状とは?

帯状疱疹の初期症状としては、風邪に似たようなだるさや微熱皮膚の違和感があります。

その後、以下のような症状が現れ、症状が進行していきます。

  • ピリピリ・チクチクとした神経痛
  • 左右どちらか一方の皮膚に水ぶくれ
  • 赤みや腫れを伴う発疹
  • かさぶたや脱皮後、皮膚の色素沈着が残ることも

 

症状は主に体幹部に現れますが、顔面(特に目や耳)に出るケースでは視力障害や顔面神経麻痺など、重篤な合併症を起こす可能性がありますので、十分な注意が必要です。 

 

帯状疱疹の合併症「帯状疱疹後神経痛(PHN)」とは?

帯状疱疹で特に注意すべき合併症が、「帯状疱疹後神経痛(PHN:Postherpetic Neuralgia)」です。

帯状疱疹後神経痛になると、ウイルスによって傷ついた神経が修復されず、皮膚症状が治った後も慢性的な痛みやしびれが数カ月から数年続くことがあります。

特に高齢者では、この後遺症が残る割合が高いため、早期治療と予防が重要です。

 

発症リスクが高いのはどんな人?

帯状疱疹は誰でも発症する可能性がありますが、以下のような人は特に注意が必要です。

 

1. 50歳以上の中高年

加齢による免疫力の低下により、50代以降で発症率が一気に高くなります。日本では、80歳までに3人に1人が発症するとも言われています。

 

2. 慢性疾患を持つ人

糖尿病、腎臓病、がん、自己免疫疾患などを持つ方は免疫力が低下しやすく、リスクが高まります。

 

3. 抗がん剤・免疫抑制剤などの治療中の人

薬剤による免疫抑制も、ウイルスの再活性化を誘発します。

 

4. 強いストレスや疲労を感じている人

精神的・身体的なストレスが続くことで、体の防御機能が弱まり、帯状疱疹のきっかけになることがあります。

 

帯状疱疹の治療法

帯状疱疹の治療は、できるだけ早く行うことが基本です。理想的には、発症後72時間以内に抗ウイルス薬を開始することで、ウイルスの増殖を抑え、重症化や合併症のリスクを低下させます。

 

主な治療内容

  • 抗ウイルス薬(内服・点滴)
     ウイルスの増殖を抑え、症状を軽減します。
  • 鎮痛薬(アセトアミノフェン・NSAIDsなど)
     初期の神経痛や不快感を軽減するために使用されます。
  • 神経障害性疼痛に対する薬(リリカなど)
     帯状疱疹後神経痛の予防や治療に用いられます。

 

症状の重さや発症部位によっては、皮膚科・内科・神経内科などの専門医による診察が必要になる場合もあります。

 

帯状疱疹は人にうつるの?

帯状疱疹そのものが他人にうつることはありませんが、帯状疱疹の水ぶくれ部分に含まれるウイルスが、まだ水ぼうそうにかかったことのない人(特に子ども)に感染すると、水ぼうそうとして発症することがあります。

特に注意すべきは以下の方です。

  • ・小さな子ども
  • ・妊婦
  • ・免疫力が低い人

 

症状がある期間は、水ぶくれを隠す、接触を避ける、手洗いの徹底など、周囲への感染対策が必要です。

 

帯状疱疹はワクチンで予防できる

現在、帯状疱疹の発症を効果的に予防する方法として、不活化ワクチン「シングリックス」の接種が推奨されています。

 

「シングリックス」の特徴

  • 対象年齢:50歳以上
  • 接種回数:2回(2か月間隔)
  • 予防効果:90%以上の高い発症予防効果
  • 持続期間:約10年
  • 費用:2回で約4〜5万円(医療機関によって異なります)

 

副反応として、接種部位の腫れや発熱、倦怠感などが見られることがありますが、数日で自然に回復するケースが多く、予防効果の高さから非常に注目されています。

※一部自治体では助成制度が導入されています。お住まいの地域の制度について、各市区町村の窓口や医療機関でご確認ください。

 

日常生活でできる予防対策

ワクチン以外にも、免疫力を高める生活習慣が帯状疱疹の予防につながります。

  • 栄養バランスのとれた食事
  • 質の良い睡眠
  • 適度な運動
  • ストレスを溜めない工夫
  • 定期的な健康診断や検査

 

規則正しい生活や食生活の改善、ストレス管理等によって免疫機能を正常に保つことが、帯状疱疹の再発や重症化の予防につながります。

 

50歳を過ぎたら「予防」が最善策

帯状疱疹は、免疫力が落ちたときに誰でもかかる可能性のある病気です。発症すると痛みや神経障害が長引くこともあり、「治す」よりも「防ぐ」ことが大切です。

50歳を迎えたら、帯状疱疹ワクチン(シングリックス)の接種を積極的に検討しましょう。あわせて、免疫力を保つ生活習慣を意識することで、将来的な発症リスクを大きく下げることができます。

 

当院でも、帯状疱疹ワクチン「シングリックス」の接種を実施しております。

さらに、大阪市では令和7年4月1日より、高齢者の帯状疱疹ワクチンが定期接種の対象となりましたので対象となる方はぜひ接種をご検討ください。

 

定期接種の対象者は、下記いずれかに当てはまる方となります。

・当年度中に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上になる市民の方

・60歳から64歳の方のうち、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)により免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障がいを有する市民の方(身体障がい者1級相当)

 

 ※令和7年度から令和11年度の5年間は、経過措置のため対象者は5歳刻みとなり、令和12年度以降は、接種日時点で65歳の方のみが対象になります。

 

 

帯状疱疹ワクチン:

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