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深夜業従事者の自発的健康診断とは?対象者・健診内容・企業の対応について解説

column

深夜残業で忙しくする従業員の様子
2025.06.25
  • コラム

近年、働き方の多様化により、深夜勤務や夜勤に従事する人が増加しています。夜間に働くことで生活リズムが乱れ、心身に大きな影響を与えることが知られていますが、これを放置すると健康障害を引き起こすリスクが高まります。


そこで重要になるのが、「深夜業従事者の自発的健康診断(じはつてきけんこうしんだん)」です。

 

今回は、その概要や健診の対象者、具体的な検査内容、企業としての対応について詳しく解説します。

 

深夜業従事者の健康リスクとは?

人間の身体は本来、昼間に活動し夜に休む「サーカディアンリズム(概日リズム)」に従って働いています。深夜に働くと、このリズムが乱れてしまい、自律神経やホルモンバランスに悪影響を及ぼします。
特に深夜業に従事する人は、以下のようなリスクが高まることが知られています。

  • 睡眠障害(不眠、睡眠の質の低下)
  • 高血圧や心疾患
  • 消化器系のトラブル(胃炎、胃潰瘍)
  • 糖尿病などの生活習慣病
  • 精神的ストレス、うつ病

 

上記のようなリスクを早期に発見・予防するために設けられているのが「深夜業従事者の自発的健康診断」です。

 

深夜業従事者の自発的健康診断とは?

「深夜業従事者の自発的健康診断」とは、労働安全衛生法第66条に基づき、深夜業を行う労働者が自らの意思で受けることができる健康診断です。


深夜業とは、午後10時から午前5時までの時間帯に行う業務を指します。この時間帯に働くことで身体に負担がかかるため、通常の定期健康診断に加えて特別な配慮が必要とされています。

 

義務ではなく「努力義務」

この健診は「自発的」と名がついている通り、法的な義務ではなく“努力義務”にとどまります。ただし、企業は労働者からの申出があった場合には、健康診断を実施しなければならないとされています。


そのため、従業員が申請した場合には、企業は適切な対応が求められることを理解しておきましょう。

 

深夜業従事者の自発的健康診断、対象者は?

深夜業従事者の自発的健康診断の対象となるのは、「深夜業に概ね1週間あたり4回以上従事する労働者」とされています。

 この基準は労働安全衛生規則に定められており、以下のようなケースが該当します。

 

  • 夜勤専門の看護師・介護士
  • 深夜シフトのあるコンビニや飲食店のスタッフ
  • 工場の24時間操業ライン勤務者
  • 交通インフラ(鉄道・バス・タクシーなど)の深夜勤務者

 

週に1~2回程度の深夜勤務では対象にならない場合が多いため、自身の勤務実態を把握しておくことが大切です。

 

 

深夜業従事者の自発的健康診断の健診内容

深夜業従事者の健康管理を目的とするこの健診では、通常の定期健康診断に加えて、心身への影響を考慮した検査項目が含まれます。

 

主な検査内容

検査項目概要
問診・生活状況調査睡眠の質、食事、勤務形態、ストレス状況などを問診
血圧測定高血圧や自律神経系への影響を確認
血液検査血糖値、コレステロール、肝機能など生活習慣病の有無をチェック
尿検査糖尿病や腎機能の異常の兆候を確認
心電図検査不整脈や心疾患の兆候を確認
精神健康調査ストレスチェックやうつ傾向の有無を確認(必要に応じて)

なお、企業の健康診断体制によっては、オプションとして睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング眼精疲労の検査を行う場合もあります。

 

企業が果たすべき役割

企業は、深夜業従事者の健康を守るため、以下のような対応が求められます。

 

1. 健康診断の周知と受診機会の提供

従業員に対して「自発的健康診断」の制度をわかりやすく説明し、申し出やすい環境を整備する必要があります。

 

2. 診断結果への対応

健康診断で異常が認められた場合には、産業医と連携し、労働時間の見直しや業務内容の変更、医療機関の受診促進など、適切な措置を講じることが求められます。

 

3. 定期的なフォローアップ

1回の健診で終わらせず、年1回程度の定期的なチェックや職場環境の改善を通じて、長期的な健康管理を支援する体制づくりが望まれます。

 

 

健診を受けるメリットとは?

深夜業従事者にとって、この健診を受けることには大きな意義があります。

  • 早期に健康異常を発見できる
  • 生活習慣の改善きっかけになる
  • 適切な治療・就業調整につながる
  • 将来的な重篤疾患のリスクを軽減できる

 

長時間・不規則な勤務を続ける前に、自身の健康状態を客観的に把握することが、働き続けるための第一歩です。

 

深夜業従事者の健康を守るために

「深夜業従事者の自発的健康診断」は、健康リスクの高い働き方に対する重要なセーフティネットです。企業・従業員双方が制度を正しく理解し、積極的に活用することで、職場全体の健康と生産性の向上につながります。

 

特に深夜勤務が常態化している職場では、単に義務を果たすだけでなく、「健康経営」の観点からも、自発的健康診断の活用を推進していくことが望まれます。

 

当院では、深夜業従事者の自発的健康診断を随時実施しております。

個人でのご受診、あるいは企業単位でのご受診どちらでもお受けいただくことが可能です。

 

各線梅田駅からすぐで、院内には健診用の更衣室も完備しておりますので、お仕事の合間や通勤のついでに気軽にお立ち寄りいただけます。

事前予約をお願いしておりますので、健診に関するご予約やご相談については、お気軽に当院までお問い合わせください。

 

深夜業従事者の自発的健康診断についてはこちら:

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