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血圧が低いのは健康の証?低血圧で気をつけた方がいい健康リスクとは

column

2025.08.27
  • コラム

「血圧が低いのは良いこと」と聞いたことがある方も多いかと思います。

一般的に、高血圧は心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めるため注意が必要とされていまが、その一方で、血圧が低い状態、いわゆる「低血圧」は病気としてあまり注目されにくく、「むしろ健康的」と考える人も少なくありません。

しかし、低血圧も放置すると体調不良や日常生活に支障をきたすリスクが存在します。

 

今回は、低血圧の定義や症状、低血圧が続くことで考えられる健康リスク、低血圧改善のための生活習慣について解説していきます。

 

低血圧の基準とは?

そもそも血圧とは、心臓が血液を全身に送り出すときに血管にかかる圧力のことを指します。

日本高血圧学会のガイドラインでは、収縮期血圧(上の血圧)が100mmHg未満の場合を低血圧と診断することが一般的です。

  • 正常血圧:収縮期 120mmHg 未満/拡張期 80mmHg 未満
  • 低血圧:収縮期 100mmHg 未満

血圧が低くても自覚症状がなく、日常生活に問題がない場合は必ずしも病気ではありません。その一方で、低血圧によって体調不良を感じる人も多く、生活の質に大きな影響を与えるケースがあります。

そのような方は、低血圧改善のために生活習慣から工夫をしていくことが大切です。

 

低血圧による主な症状

低血圧は「サイレントな体質」と見なされがちですが、以下のような症状を引き起こすことがあります。

  • 立ちくらみ・めまい:
    急に立ち上がったときに血圧が下がり、脳に十分な血流が届かず起こります。
  • 頭痛や肩こり:
    脳への血流不足により、慢性的な頭痛や肩こりを感じる人もいます。
  • 疲労感・倦怠感:
    全身の血流が不足することで、常に体がだるいと感じやすくなります。
  • 動悸や息切れ:
    心臓が血流を補おうとして拍動が速くなることがあります。
  • 冷え性:
    手足の末端まで血液が十分に行き渡らないことで、冷えを感じやすくなります。

これらの症状は、日常生活におけるQOLの低下や慢性的な不調にも繋がり、さらに放置すると他の病気を引き起こすリスクが高まる恐れもあります。

 

低血圧で気をつけたい健康リスク

低血圧そのものは高血圧のように動脈硬化や心筋梗塞の大きなリスク因子とはされていません。しかし、慢性的な低血圧や急激な血圧低下については、次のような健康リスクを引き起こす可能性があります。

 

1. 脳への血流不足による失神

血圧が急激に低下すると、脳への血流が一時的に不足し、意識を失うことがあります。転倒によるけがや事故につながるため注意が必要です。

 

2. 起立性低血圧

座っている状態や横になっている状態から立ち上がったときに血圧が下がり、めまいや立ちくらみが起こる現象です。高齢者に多く見られ、転倒リスクを高めます。

 

3. 脳梗塞や認知症との関連

一部の研究では、慢性的な低血圧が脳の血流不足を招き、脳梗塞や認知機能低下に影響を与える可能性が指摘されています。特に高齢者では注意が必要です。

 

4. 臓器の血流障害

血圧が低い状態が続くと、腎臓や肝臓などの臓器に十分な血液が行き渡らず、機能低下を招くリスクも考えられます。

 

 

低血圧になりやすい人の特徴

低血圧は遺伝的な要因も大きく、「体質だから仕方ない」とされることもありますが、次のような人は特に低血圧になりやすい傾向があります。

  • 女性ややせ型の人
  • 運動不足で筋肉量が少ない人
  • 睡眠不足や過労が続いている人
  • 水分や塩分の摂取が少ない人
  • 自律神経が乱れやすい人

 

 

低血圧を改善・予防する生活習慣

低血圧は生活習慣を整えることで症状を軽減できる場合があります。

 

1. 朝の起き方を工夫する

布団から急に起き上がらず、横になった状態からゆっくり体を起こすことで、起立性低血圧を防ぎやすくなります。

 

2. 水分と塩分を適度にとる

血液量を増やすために、こまめな水分補給と適度な塩分摂取が有効です。特に夏場や汗をかいたときは意識しましょう。

 

3. 規則正しい生活リズム

睡眠不足や過労は自律神経を乱し、低血圧の症状を悪化させます。十分な休養を心がけましょう。

 

4. 軽い運動で血流を促す

ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動は全身の血流を改善し、低血圧による症状の緩和につながります。

 

5. 弾性ストッキングの活用

弾性ストッキングを着用することで、血液が下肢にたまりにくくなるため、立ちくらみや冷え性の改善に役立ちます。自宅にいるときや、立ち仕事をした後などに意識して着用してみることで冷えやむくみの改善を感じやすくなります。

 

 

医療機関を受診すべきケース

低血圧があっても自覚症状がなければ経過観察で問題ない場合もありますが、次のような症状がある場合は医療機関の受診をおすすめします。

  • 頻繁にめまいや失神が起こる
  • 日常生活に支障を感じるほどの倦怠感がある
  • 動悸や息切れが続く
  • 突然、急激に血圧が下がった

 

特に高齢者や基礎疾患がある方は、低血圧が他の病気のサインになっている可能性もあるため、自己判断せず早めに相談しましょう。

 

 

低血圧による不調が辛いなら、早めの受診を

低血圧は「健康的な体質」と見られがちですが、めまいや倦怠感、失神など、生活の質を低下させるリスクを伴うことがあります。さらに、高齢者では転倒や脳の血流不足による認知機能低下など、深刻な健康リスクにつながる可能性もあります。

日頃から水分・塩分補給や生活リズムの改善、軽い運動を意識することで症状を和らげることが可能です。気になる症状がある場合は、医療機関で相談し、安心して生活できるよう対策をとりましょう。

 

当院では循環器科を構えており、血圧のチェックはもちろん、心電図や胸部CT、エコー検査などさまざまな検査機器を揃えておりますので、不調の早期発見・治療をスムーズにサポートすることができます。

健康診断で低血圧を指摘された方や、慢性的な低血圧による不調でお悩みの方は、お気軽に当院医師までご相談ください。

 

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