いびき=危険信号? 睡眠時無呼吸症候群が疑われるサインと対処法
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- コラム
「最近、いびきがひどいと言われた」「朝起きても疲れが取れない」「日中の眠気がひどい」
こうした症状に心当たりはありませんか?
もしかすると、それは単なる“いびき”ではなく、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)のサインかもしれません。
今回は、いびきが危険信号となる理由や、睡眠時無呼吸症候群が疑われる具体的なサイン、放置によるリスク、対処法について詳しく解説します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。特に、日本人に多いのが「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」で、これは喉や舌の筋肉が緩むことで気道が塞がれ、呼吸が止まってしまうことが原因です。
呼吸が止まると血中の酸素濃度が低下し、脳が「呼吸を再開させよう」と体を覚醒させます。これにより、深い睡眠が妨げられ、十分な休息が取れなくなるのです。
危険ないびきの特徴とは?
すべてのいびきが危険というわけではありません。問題なのは、以下のような睡眠時無呼吸症候群が疑われるいびきです。
危険ないびきのサイン
- いびきが突然止まる→しばらくして「ガッ」と呼吸が再開される
- 毎晩いびきをかく(特に仰向けで)
- いびきの音が非常に大きい/不規則
- 睡眠中に何度も目が覚める
- 無呼吸を家族に指摘された
- 起床時に頭痛や喉の渇きがある
- 日中の強い眠気や集中力の低下
こうした症状が複数当てはまる場合、医療機関での検査・診断を受けることが強く推奨されます。
睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなる?
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、単に「眠れない」だけでは済みません。以下のような深刻な健康リスクを引き起こす可能性があります。
放置によるリスク
- 高血圧・心疾患・脳卒中のリスク増大
無呼吸による低酸素状態と覚醒反応の繰り返しが血管を傷つけ、動脈硬化や高血圧の原因になります。- 糖尿病の発症・悪化
睡眠不足がインスリンの働きを悪くし、血糖コントロールに影響します。- 日中の事故リスク
眠気による交通事故や労働災害が増加。実際に、SAS患者は健常者と比べて交通事故率が約7倍と言われています。- うつ・認知機能の低下
慢性的な睡眠不足は精神的な不調を引き起こし、脳のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
睡眠時無呼吸症候群の検査方法とは?
SASが疑われる場合、医療機関での検査が必要です。検査には主に以下の2種類があります。
1. 簡易検査(自宅で実施)
携帯型の検査機器を使い、自宅で睡眠中の呼吸や酸素濃度を測定。手軽で、初期スクリーニングとして有効です。
2. 精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査/PSG)
医療機関や専門の睡眠センターで一泊し、脳波・心電図・呼吸・筋電図などを詳しく測定します。診断精度が高く、保険適用もあります。
治療法と日常でできる対策は?
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、なるべく早いうちに睡眠時無呼吸症候群の治療に対応しているクリニックへ相談されることをおすすめします。
具体的な治療法や、自宅でも実践できる対処法については下記のようなものが挙げられます。
主な治療法
- CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
最も一般的な治療法。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り、気道を広げることで無呼吸を防止します。 - マウスピース治療
軽症~中等症向け。下あごを前に出すことで気道を確保します。 - 手術(扁桃摘出・鼻中隔矯正など)
原因部位が明確な場合には手術が有効なこともあります。
日常生活でできる対策
- 減量:肥満は気道の圧迫要因。5~10%の体重減で症状が改善する可能性もあります。
- 禁酒:アルコールは筋肉を弛緩させ、気道が狭まりやすくなります。
- 横向きで寝る:仰向けは舌が喉に落ち込みやすく無呼吸を助長します。
まとめ:いびきを軽視せず、まずは検査を
「いびきは誰にでもあるもの」「疲れているだけ」と自己判断してしまいがちですが、いびきは体からのSOSサインである可能性があります。
特に、日中の眠気や無呼吸の兆候がある場合は、早期に専門医の診察を受けることが重要ですので、なるべく早めに医療機関に相談することをおすすめします。
当院では、睡眠時無呼吸症候群の診察・検査・治療を実施しております。
もし他の病気が隠れている場合にも、CT機器やエコー機器を完備しておりますので迅速かつスムーズに検査を進めることも可能です。どなたでも安心してご受診いただける環境を整えておりますので、お気軽にご相談・ご受診ください。