尿検査で異常が出た際に考えられる健康リスクは?
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- コラム
健康診断や人間ドックなどで行われる尿検査は、体内のさまざまな状態を把握するうえで非常に有効なスクリーニング手段です。血液検査や便検査と並び、体の異常を早期に発見できる検査項目として重視されています。
尿は腎臓でろ過された老廃物を体外へ排出するものであり、その成分を調べることで、腎臓病や糖尿病、尿路感染症など、さまざまな疾患の兆候を知ることができます。そのため、尿検査で異常値が出た場合には、軽視せずに適切な対処をすることが重要です。
尿検査でチェックされる主な項目と異常の意味
尿検査では以下のような項目が確認されます。
- ■ 蛋白(たんぱく):本来、健康な人の尿には蛋白はほとんど含まれません。蛋白尿が出ると、腎機能に何らかの異常がある可能性があり、**慢性腎臓病(CKD)**の早期サインであることもあります。
- ■ 尿糖:正常では尿に糖は検出されませんが、尿糖が陽性になると糖尿病や血糖コントロール不良が疑われます。
- ■ 潜血:尿に血液成分が混じる状態で、血尿の一種です。原因としては膀胱炎や腎炎、尿路結石、腎臓がんなどが考えられます。
- ■ 白血球・亜硝酸塩:これらの陽性反応は、尿路に細菌が侵入していることを示唆し、尿路感染症(例:膀胱炎、腎盂腎炎)との関連が強くなります。
- ■ 尿比重・pH:水分状態や腎臓の濃縮力、食事内容を反映します。異常な値は脱水や代謝の問題を示すことがあります。
異常が出たときに考えるべき病気や状態
1. 腎臓病
継続的な蛋白尿や潜血がある場合は、腎機能の低下が疑われます。慢性腎臓病は進行が遅いため、尿検査による早期発見がきわめて重要です。進行すると腎不全に至るリスクもあるため、早期の対応が求められます。
2. 糖尿病
尿糖が陽性の場合、血糖値の上昇が考えられます。血液検査でのHbA1c測定と併せて診断されることが多く、放置すれば糖尿病性腎症などの合併症を引き起こす恐れもあります。
3. 尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎)
特に女性や高齢者に多く見られ、頻尿、排尿痛、発熱などの症状を伴います。再発を繰り返す場合には、生活習慣や排尿習慣の見直しも必要です。
4. 尿路結石
突然の激しい腰痛や血尿があるときは、尿路結石の可能性があります。水分をしっかりとることで予防できますが、再発しやすい疾患でもあります。
5. 膀胱がん・腎臓がん
原因が明らかでない持続的な潜血がある場合は、がんの可能性も否定できません。中高年での血尿は早めの精密検査が必要です。
尿検査で異常が出やすい人の特徴
以下のような方は、尿検査で異常が見つかる可能性が高い傾向にあります。
- ■ 生活習慣病を抱える人
高血圧や糖尿病、脂質異常症などを持つ人は腎臓に負担がかかりやすく、異常が出やすくなります。
- ■ 水分摂取が不足しがちな人
脱水状態では尿が濃くなり、蛋白や潜血が一時的に現れることがあります。特に夏場や高齢者は注意が必要です。
- ■ 激しい運動や強いストレスのある人
マラソンや筋トレ直後などは一過性の蛋白尿が出ることがあります。また精神的ストレスも検査結果に影響を与えることがあります。
- ■ 女性(特に若年〜中年層)
尿道が短いため、膀胱炎などの尿路感染症になりやすく、白血球や潜血が出やすくなります。
- ■ 喫煙・過度の飲酒習慣がある人
これらの習慣は腎機能や泌尿器系の健康を損なうリスクを高めます。
異常が出たときの対処について
尿検査で異常が出ても、すぐに病気が確定するわけではありません。一過性のものも多くありますが、異常値が続いたり、他の症状がある場合には放置せず、再検査や専門医の診察を受けましょう。
特に健康診断で再検査の通知が届いた場合は、自己判断で終わらせずに医療機関を受診することが、自身の健康を守る第一歩です。
尿検査で引っかかったら、早めの診察・再検査を
尿検査は、病気の兆候を早期に発見できる貴重な検査です。自覚症状がない疾患も、尿の成分に変化として現れることがあります。定期的な検査と、日常生活の中での水分摂取・食事・運動の見直しを心がけることで、多くのリスクを未然に防ぐことができます。
当院でも、尿検査で引っかかった方のための診察および再検査に対応しております。
尿検査はもちろん、血液検査やエコー検査によって、より精密にお身体の状態をチェックすることが可能です。
気になる症状がある方も、自覚症状がない方も、検査結果で引っかかった場合はお気軽にご相談ください。