中性脂肪とLDLコレステロールの違いとは?それぞれの役割を解説
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- コラム
健康診断で血液検査を行うと、検査結果の数値の中に「中性脂肪」「LDLコレステロール」という項目があるかと思います。
「なんとなく体に悪い物質なんだろうな」
「肥満になると数値が高くなる気がする」
といったイメージがある方は多いかと思いますが、一方でそれぞれの役割や違いについてはあまり詳しく知られていません。
今回は、中性脂肪とLDLコレステロールの違いと、その役割について詳しく解説していきます。
中性脂肪とは
血液中には、大きく分けて4種類の脂質が溶け込んでおり、そのうちの一つが「中性脂肪」になります。
内臓や筋肉を正常に動かしたり、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の吸収、体温維持などの役割ももつほど、生命活動を行うにあたり非常に重要な物質です。
中性脂肪は、空腹時の基準値が30~149mg/dLと定められており、低すぎても高すぎても身体に不調がでる恐れがあるため、正常値を意識して日常生活を送ることが大切です。
LDLコレステロールとは
血液中に溶け込んでいる脂質のうちの一つに中性脂肪があると先述しましたが、コレステロールもそのうちの一つになります。
コレステロールには2種類あり、一つが善玉と呼ばれるHDLコレステロール、もう一つが悪玉と呼ばれるLDLコレステロールがあります。
コレステロール自体は肝臓でつくられ、細胞膜やホルモン、胆汁酸をつくりだす働きがあり、生命維持において重要な役割のある物質です。
LDLコレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ役目をもちますが、使わない分のコレステロールは血管や末梢組織に溜めていってしまいます。一方で、HDLコレステロールはLDLが溜め込んで血管壁や末梢組織に溜まったコレステロールを肝臓にまで運んで持ち帰る役目があります。
そのため、HDLは余分なコレステロールを取り除いてくれるので善玉、LDLは余分なコレステロールを血中に溜めてきてしまうので悪玉と呼ばれるようになりました。
LDLコレステロールは、空腹時の基準値が70~139mg/dLと定められており、低すぎても高すぎても身体に不調がでる恐れがあるため、正常値を意識して日常生活を送ることが大切です。
中性脂肪とLDLコレステロールの違い
上記に示した通り、同じ血中脂質でも中性脂肪とコレステロールでは体内での働きが異なります。
中性脂肪
・内臓や筋肉を正常に動かす
・脂溶性ビタミンや必須脂肪酸を吸収する
・体温を維持する
LDLコレステロール
・細胞膜やホルモン、胆汁酸をつくりだす
・肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ
それぞれ、生命活動を行うにあたって非常に重要な役割をもつため、過不足なく適正な数値を保つよう心がける必要があります。
中性脂肪とLDLコレステロールの数値が高いとどうなる?
中性脂肪やLDLコレステロールは、数値が高いとさまざまな病気のリスクが高くなってしまいます。
中性脂肪の数値が高いと、皮下や内臓に脂肪が蓄えられてしまうため、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高まります。また、動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞等のリスク、急性膵炎の発症リスクも高くなる恐れもあります。
一方、LDLコレステロールの数値が高い場合は、血管や末梢組織での動脈硬化が進みやすくなり、中性脂肪と同じく心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
肥満や高血圧、糖尿病などの患者さんや喫煙者の方は、中性脂肪・LDLコレステロールともに数値が高いケースが多く、反対に中性脂肪・LDLコレステロールが高い場合は、それらの疾患も併発しやすいです。
中性脂肪とLDLコレステロールの数値を正常に保つには?
中性脂肪やLDLコレステロールの数値が高い場合は、正常に保つためには日頃の生活習慣を整えることからはじめてみてください。
数値がひどく高い場合を除けば、ウォーキングをはじめとした適度な運動習慣をつけたり、野菜やお魚中心の食生活を心がけたり、規則正しい生活を送ったりすることで、3〜6ヶ月継続すれば数値の改善がみられやすいです。
まずは自分でできることから実践して数値の改善を心がけながら、医師に相談の上、必要であれば適切な治療を進めていくようにしましょう。
健診結果で異常を指摘されたら、早めに再検査・治療を
健康診断は、受けて終わりではなく健診結果をもとに適切な行動を実践することが最も大切です。
再検査や精密検査を直接指摘されなかったものの少し数値が高めだった方、数値異常が確認された方は、生活習慣を見直してみることからはじめてみて下さい。
また、健診結果で医師から指摘を受けた方や、再検査・精密検査と記されていた方は、なるべく早いうちに近隣の医療機関に相談するようにして下さい。
当院でも、健診異常(健診で引っかかった方)のための再検査・診察を実施しております。
レントゲンや血液検査はもちろん、エコー検査や胸部CT検査も院内で実施可能ですので、より精密にお身体の状態をチェックできます。
健康な身体を維持するためにも、今一度健康診断の受診および健診結果の見直しをして、この春も元気に過ごしていきましょう!